Night of beginning 33

 

今日は4月7日、始業式だった。



オレは、いつものように学校に行った。
普通の小学6年生として……。



……そう。
あの日、オレがねえちゃんに好きだと言った後。
小学生のオレに戻ってしまったんだ……。



何故かは分からない。


ただ、なんとなく分かる事もあった。

オレは焦っていたのかもしれないってこと。


年の事もそうだけど……
ねえちゃんを誰かに取られるっていう気持ちが強かったんだと思う。



それをオレ自身、気づいていなかったんだろうな。



ねえちゃんとの年の差がイヤで……
早く大人になりたくて……


そんな不安定な気持ちがオレをデカくしたんだろう。
焦る気持ちがオレを変えた。


でも、あの日。
ねえちゃんにオレの気持ちを伝えた夜、元に戻ったんだ。



……安心したのかもしれない。



ねえちゃんが笑って答えてくれた時、胸のモヤモヤが飛んでいったみたいだった。
スッキリした気分になって……



……そしたらチビのオレに戻ってた。



答えてもらった途端これだもんな。
そうとしか考えられないぜ。


……オレって結構、単純だったんだ。


それまでは元に戻る気配も無かったし。
オレ自身、元に戻りたくないって願っていたからかもしれない。



ねえちゃん、オレと侭が同じ人間だって驚いてたっけ。
最初は信じてはもらえなくて……

……そりゃそうか。

オレだって信じられなかったんだもんな。
あの夜に起こった事はさ。



でも……
ねえちゃんは待っててくれるって言った。
オレが大人になるのを……。


これで安心して大人になっていける。


今までのオレのペースで。


早くイイ男になるんだ。
イイ女の、ねえちゃんと一緒にいてもおかしくないくらいに……!



デカくなったオレの、その隣には……
ねえちゃんが、居てくれるといい。


側に……ずっと…………

ずっと一緒に……





不思議な事が始まった夜。

鏡に映った、あの時のオレは……

……もういない……。



オレ蕗乃尽、4月11日生まれ。
もうすぐ12歳になる……。




END



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