Night of beginning 21

 

疲れた……。

モデルって結構、疲れるんだな。

何もしないで……言われた事に格好つけるだけなのに.。

昨日は帰ると直ぐ眠ったけど疲れが取れていないや……
デカくなった身体は疲れやすいのかな?

「そんなワケ……無いか!」

それも少しは、あるかもしれないけど……
多分それだけじゃない。

いろんな事が一度にあったから……

葉月のファンやマネージャー……

それと……

ねえちゃんが……葉月といたこと……

「これが一番効いたな……」

それでも毎日してきた事って身体が覚えているのかな?
それとも習性化してる?

ねえちゃんを起こしてたのがクセになったのか朝は余裕で起きれるんだよなぁ〜

……なんか悲しくなってきた。

「何やってんだろ?オレ??」

そう思いながら今、オレは台所にいる。
もちろん、葉月ん家のさ。

「朝メシ作ってたりするんだよねぇ〜」

昨日、撮影が終わった時、何か必要な物があったらって
マネージャーに言われてオレが言ったセリフは……

「あ!じゃあ、朝メシ用の材料、良いですか?」

……だったもんな……ははは……。

で、今のこの状況なんだけどね。

葉月のことだから、どうせ作って食べたりしないんだろうし。
オレがやるしかないもんな。

……ま、気晴らしにはなるな、料理作るの好きだし。

「へへっ……オレって良いお婿さんになるぜ〜♪」

こうやって一人でバカ言って……
気分を盛り上げるクセまで付いてんだよな……オレってさ。

「落ち込んでても仕方ないしね!」

こうゆう所は、ねえちゃんに似たのかな?
ねえちゃん、前向きだもんなぁ〜

「では……いただきまぁ〜す!」

う〜ん!美味い!!

オムレツはフワフワだし、ベーコンは程よい焼加減!
ツナ缶が山のようにあったから、ツナサラダも作ってみました〜
小学生が作ったとは思えねぇよな〜上出来、上出来♪

「尽のオムレツ、美味しいぃ〜♪」

ねえちゃんの声が……聞こえた気がした。

家庭科が始まった頃、面白くて色々作ってみた事があったんだ。
どれも上手く出来てたんだけど、ねえちゃんが一番上手いって
褒めてくれたのがオムレツで……嬉しそうに食べてくれたっけ。

……ねえちゃん、ちゃんと起きれてるかな?
朝メシも食べないでギリギリ出掛けたりしてるんじゃないのか?

「朝、弱いからなぁ……心配だよ。」

電話で起こしてやりたいけどオレ、声まで変わっちゃったしな……。

「葉月に頼む……か?」

……ダメだな。
アイツって絶対!夜型人間だ。

……いつも寝てばっかりだしな。
アレって夜更かしの、しすぎなんじゃないの?

それに……確実に、ねえちゃんに怒られる……
人が心配してるっていうのにな……まったく!

「ホント!手の掛かるねえちゃんだよっ!」

……離れてても、こんなに気になるんだからさ。

今日もバイトが入ってる。

「そろそろ、出掛けようかな。」

メシはメモでも置いとけば葉月も食うだろ。
ちゃんと葉月の分も作ったんだからさ。
シッカリ食ってもらわないとな。

起こしてやっても良いけど、葉月にも生活習慣ってのがあるだろうし。
余計な事も出来ないよな。

「んじゃあ、いってきまぁ〜す。」

今日はスタジオで撮るって言ってたよな?
昼メシはアルカードにでも行くか。

月曜だから、ねえちゃんがいなくて残念だけど。
……でも昨日の今日だから会いたくないような気もする。

「ハァ〜……フクザツな気分だなぁ……。」

……溜息しか出ないや。

 

……って思ってたら

「いらっしゃいませ〜!」

「……なんで、いるんだよ?」

昼の休憩になったからオレはアルカードに来たんだけど……
なんで月曜なのに……ねえちゃんがいるワケ?!

「こちらへ、どうぞ!ご注文は?」
「……MIXサンドとオレンジジュース」

ニコニコ顔のねえちゃんに奥の席に案内された。

「はいっ、かしこまりました!暫く、お待ち下さいませ。」
「……なぁ」
「え?」
「なんで、いるワケ?」
「?わたし??」
「そう!……今日バイトの日じゃないよね?」
「侭くん?なんで知ってるの?わたしのバイトの日?」

!!ヤバイ
……
ねえちゃんが目を丸くしてオレを見た。

「!!い、いや!ほ、ほらっ!葉月に聞いたんだよっ!葉月にっ!!」
「あっ!なぁ〜んだ!そうかぁ〜っ」
「そう、そう!」

……焦った

「今日はね、お手伝いしてるだけなの。」
「お手伝い?」
「うん!買い物に来て、お昼食べに来たんだけどお店、一杯だったから。」
「へぇ……」

相変わらずの、お人好しだよな〜ねえちゃんは……

「……で?自分は?もうメシ食ったの?」
「ううん、まだだよ。ピークが過ぎたら、ゆっくり食べようかと思って。」
「もう良いんじゃない?店、空いてきただろ?」
「あ?そうだね。」
「じゃあさ……一緒に食わない?」
「!うん!一緒に食べよう!作ってくるね!」

そう言うと、ねえちゃんはカウンターに入っていった。

「……ラッキーだったかも?」

フクザツな気分だったけど、ねえちゃんの顔見たら
そんなの、どこかへ行っちまった。

「さすが……ねえちゃんだな。」

クスクスッ……敵わねぇなぁ〜
……ホント、無敵だぜ♪

 

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