Night of beginning 22
「どうしたんだ?」
「え?」
「最近……何か考え込んでないか?」
「!あっ……ううん!そんな事ないよ!」
今日はバイトの日だ。
休憩でアルカードに来ると兎羽子も休憩を取っているところだった。
「………………。」
「うっ……あ、あのね、もう直ぐ進路相談だなぁ〜って思って。」
「進路相談?」
「あ〜!珪くん、忘れてたでしょ〜?」
「……。」
「しょうがないなぁ〜クスクス、珪くんらしいや。」
……笑われた。
「……おまえ……。進学するんだろ?」
「うん!希望はね〜……一流大学なの。」
一流……。
「そうか……。」
「珪くんは?もちろん進学だよね?」
「ああ。俺も一流だ……。」
「う〜ん!やっぱりねぇ〜」
やっぱり……って……なにが?
兎羽子は、しきりに頷いている。
「……家から近いんだ。」
「へっ?もしかして……それが選んだ理由?」
「……ああ。」
「”ああ”って……。良いなぁ、アタマのいい人は……。」
「……おまえだって悪くないだろ?この前の期末……1位だった。」
「わたしなんて必死だよぉ〜……予習だってしておかないと氷室先生の授業、ついていけないもん!」
「……努力してるんだな、おまえ。スゴイな……。」
「やだなぁ〜凄くなんかないよ。みんな頑張ってやってるよ?珪くんが凄すぎるの!」
そう言って笑うおまえを見て少し安心した。
もしかしたら……
尽の事を考えていたのかと思ったから……
「……よかった。」
「ん?なにがよかったの?」
「いや……なんでもない。」
キョトンとしている、おまえを見て……
今度は俺が笑った。
「……受かると良いな……一流。」
「!うんっ!!」
そうだ……受かると良い。
本当にそう思う。
そうすれば、また……
……一緒にいられる……。
俺は……まるでジグソーパズルだ。
兎羽子が……
俺のパズルを埋めていってくれる。
でも俺にはピースが足りない。
俺は沢山のピースを失くしていて……。
それを兎羽子が少しずつ見つけてくれた。
兎羽子の優しさに触れるたび……
昔の俺が組み上がっていく……
そして、それはもう少しで完成するはずだったんだ……。
だけど……
最後のピースが見つからない。
……いや。
そうじゃないな。
俺の最後のピースは……
もう兎羽子が見つけて持っている。
でも最後の箇所を前に……
兎羽子の手は止まってしまった。
それはアイツが……
尽が兎羽子の手を止めてしまったからなのか……?
俺はいつ……
昔の俺を……
取り戻せるんだろうな……。