Night of beginning 27
やっぱり、どうしても気になって……
手早く仕事を片付け侭くんと珪くんの後を追って来たんだけど。
「何処に行ったんだろう〜?」
話の出来る場所なんて、あったかなぁ?
何処かの、お店に入っちゃったとか?
「う〜ん……あ!いた!!」
二人が公園の木の側で向かい合って立っている。
なんか様子が変だけど……ケンカ?
まさか!……そんな事ないよね?
公園の側まで近づくと侭くんの声が聞こえた。
「……好きなんだ!」
「!!!」
えっ……?なに?
侭くんは、なにを言ってるの……?
……珪くんの事が……好き?
ガサッ!!
「きゃっ……!」
猫が植込みから急に飛び出して来て、驚いて思わず叫んでしまった。
「……兎羽子……!」
「!!うさぎ……」
「ご、ごめんなさい!!」
どうしよう!どうしよう!!どう……しよう!?
侭くんが!!
……侭くんが珪くんの事を……!
「好きだったなんて〜!!」
きゃぁ〜〜〜っ!!!
ごめんなさ〜いっ!!!
聞くつもりなんて、無かったのぉ〜っ!!!
「うえ〜〜〜ん!!!」
「完璧に……誤解したよな?」
「……ああ。」
…………脱力…………
「だぁ〜〜〜っ!!!何を勝手に思い込んでるんだよぉ〜〜っ!!!」
「……想像力が豊かなんだろ?」
「何を落ち着いてるんだよ!?おまえも誤解されてんだぞ!?」
「そう……みたいだな……ハァ……」
「ハァ……じゃねぇよ!なんでオレが葉月なんかと、おホモ達になんなきゃいけないんだよっ!!」
「……それはこっちのセリフだ……」
……なんで、こうなるんだよ……
慌ててねえちゃんの後を追おうとしたけど、はば学体育祭100m走を優勝する足はダテじゃないってか?
……もう、いないし……
「チッ!何処に行ったんだ、ねえちゃんは?!葉月!ねえちゃんの行きそうな場所知らないのか!?」
「俺より弟の……おまえのほうが詳しいんじゃないのか……?」
「あ……まぁ〜……そうなんだけどさ……。」
さっきまで気が高ぶってたのに、ねえちゃんが飛び込んで来た事で冷静になれた。
…………それに葉月も。
さっきまでの雰囲気じゃなくなってるし……。
ねえちゃん効果…………絶大だな。
…………でも!
これだけは言っておかないと、いけないよな?
オレは葉月に向き直った。
葉月と……
対等の位置に立つ為に……。