Night of beginning 10

 

 

 

 オレは……なんでこんな事になってんのか…考えてみる。




「ハァ〜……」
「あれ?どうかした?」
「えっ?あ、いや……なんでもないよ。」
「そう?ほらほら!早く食べないと溶けちゃうよ?」
「……ハイハイ」
「なによ、それー?」


プー……と、膨れっツラをしながらパフェを食っているのはねえちゃんだ……。
オレの目の前に座ってる。

そしてオレは何をしているかというと……同じようにパフェを食ってたりする。


「ホント……。何やってんのオレ……?」


空腹を抱えてアルカードに向かっていたオレが見たものは……
ねえちゃんが変な男に何処かに連れてかれそうになってたところだった。

あんな変な男にねえちゃんが触られるなんて……!

気がついた時には男を追っ払っていて、目の前にはねえちゃんがいた。


……オレ、凄い顔してたんだろうな。
ねえちゃん……恐々近づいて来たもんな。


そんなねえちゃんを放っとけなくて家まで送ろうとしたら、ねえちゃんがオレにお礼をしたいと言い出して。


……で、ココにいるんだよな?

ねえちゃん……無防備すぎ。


よく知りもしない男とパフェなんか食うなよ〜
オレだったから良かったけど他の奴だったらどうすんだよ?
さっきと同じ目に遭うぜ?


「……ったく!」
「どうしたの?」
「!……なんでもないよ。」
「あの……迷惑だった?」
「え?」


オレの悪態を聞いたねえちゃんが、寂しそうな顔でオレを覗き込んでいた。

 

 

「なに?」
「うん……こんなとこに連れて来て、あなたには迷惑だったんじゃないかと思って……。」



助けてもらったお礼がしたくて、彼を連れて来たけど……
男の子が、気軽に入る所じゃなかったよね?

かえって彼には、迷惑だったんじゃ……



それに……

わたし、なんで知らない男の子と一緒にパフェ食べてるんだろう?


自分の取った行動に、自分が一番驚いている。
そりゃ、わたしは人見知りするタイプじゃないけど……。
いくらお礼でも、急にこんなお店に連れて来るなんて。


なにやってんのよ……わたし?

でも……。



彼がわたしの顔を覗き込んだ。



……キレイな瞳。
あ……睫、長いや……。


「どうしたの?」


声も聞いてると落ち着くなぁ〜
なんでだろ?
初めて聞く声なのに?



「きゃっ!」
「ごめん!あんまりボ〜……としてるからさぁ。寝たのかと思った。」


彼がクスクス笑いながら、わたしの髪を引っ張っていた。



「そんな事、あるわけないでしょ!こんなお店で寝るなんて珪くんじゃないんだから……って……えっ?」


そういえば尽もよく、わたしの髪を面白がって引っ張ってたっけ……。

なんか……似てる?


「珪くん……ね。」
「え?あ……!」
「彼氏?」
「ち、違うよ。」
「……ふぅ〜ん……」


なに?

……この感じ?

これって……尽がよく拗ねる時の口癖……?



「つ…くし?……」
「えっ!!」



ガタンッ!



彼が慌てたように席を立った。



今、尽って…………聞こえた?



お店の窓に眼をやると珪くんが驚いた顔をして、わたし達二人を見つめていた。

 

 

 

 

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