Night of beginning 11

 

 

 

どうして…………二人で、ここにいるんだ?





俺は尽を探して、商店街まで来ていた。

コイツがどこに行くかなんて、当てがあったワケじゃない。


ただ……
足が勝手に……

兎羽子の店の方に俺を歩かせていた。


ただ、それだけ……

それだけなんだ。



兎羽子と商店街に買い物に来ると、いつも寄るアイツの好きなパフェの店。

遠目で見つけて、まさかとは思ったけど。


まさか、そこに二人でいるなんて……!



「本当……みたいだな……」
「……葉月……」
「珪くん?」



キョトンとした眼で俺を見てる兎羽子に、バツの悪そうな顔をしている尽。


そうやって並んでると、やっぱり似てるな。

姉弟……だもんな。



そんな事を思った途端、急に憑き物が落ちたような感じがした。



「なにも心配することなんて……ないじゃないか。」


そうだ……

二人は姉弟なんだから。


……いくら見た目が変わっても、それは隠しようのない事実なんだ。



「珪くん……どうしたの?」


いつのまにか兎羽子が店から出て俺の前に来ていた。

心配そうに……俺の顔を見てる。



「なんでもない。」
「え……でも……」



そんな顔するなよ。
俺はおまえに、そんな顔をさせたいんじゃない。



「いや……ちょっと人探し。」
「人を探してるの?わたし手伝うよ!」
「ああ……。いいんだ。もう見つかった。」
「?……そうなの?」
「そうだよな?」




俺は尽に目をやった。

 

 

 

葉月……オレを探しに来たのか?



なんで?

ねえちゃんの弟だからか?



葉月がオレの方を見て言った。



「どうするんだ?帰るのか?」



オレは慌てた!


だってそうだろ?
ねえちゃんと一緒にいるからって解決したワケじゃないんだから!



葉月はオレとねえちゃんが、なんで一緒にいるのか知らないんだし。



「二人とも、知り合いなの?」
「……ああ」




マズイ!!



「わたしね」
「あぁっ!そうだ!ごちそうさま!!パフェ美味かったよ!」



オレはアタフタと、ねえちゃんの言葉を遮った。



「そう?良かった♪ここのパフェは、わたしのお気に入りなんだよ」
「クスッ……そうだな。兎羽子のお気に入りはアレ……だろ?」
「へっ?」



葉月の指したショーケースのパフェは……特大だった。



「な!なに言ってるの!珪くんったら!!違うよ〜あんなには食べられないんだから!」
「そうだったか?……クスクス」
「そうだよ!!」



……なんなんだよ、この二人?



オレの知る限りじゃ、付き合って無い筈だぜ?

まるでバカップルじゃないか……
外野のオレはどうすりゃいいんだ?



ねえちゃんは、どっちかというと…いつも通り……だよな?
一番、違和感があるのは……葉月の笑顔だ。

あんな顔、初めて見たぜ。
オレが声掛けた時も、スゲェ顔で睨まれたもんな。


「そ、そうなんだ……ハハ……ハ……じゃあ、オレはこれで…………」



やってられるか!

なんかオレ……バカみたいじゃん……



歩き出したオレに、ねえちゃんが慌てて付いて来た。




「今日はありがとう!助かりました!」
「あ…いや、別に大した事してないから……。」



……なんか……視線が痛いんですけど……
…って葉月!
怖ぇーよ!
そんなに睨むなぁ〜〜〜!!



葉月が、スンゲェオーラ出し撒くってるんですけど……ハハハ……

……一緒に帰っても大丈夫かぁ〜オレ?



「名前言って無かったよね?わたし蕗乃兎羽子!あなたは?」
「オレ?!」



ねえちゃんは嬉しそうに自己紹介しだした。




ホント……

自覚無いよな。
葉月の出してるオーラに気づかないんだから……ハァ〜



「オレは……」



どうしよう〜!
名前まで決めてなかったぜ〜



「そいつ……」



オレがウンウン悩んでいると葉月がポツリと喋り出した。



葉月!?
おまえオレの事ねえちゃんにバラすんじゃ!?




「あの!あのさオレ……!!!」
「コイツ……侭って……言うんだ。俺のイトコ……」



へっ?



オレも驚いたけど……
ねえちゃんは、もっと驚いていた……。

 

 

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